タイトル | Night for Java 3.0 〜納涼Java Night〜 |
日時 | 2000年8月6日(日) 20:00〜22:00 |
会場 | Bullet's (東京都港区西麻布) |
参加対象 | 日本インターネット協会会員または非会員 (参加費 4,000円) |
参加人数 | 67名 |
主催 | 日本インターネット協会 Java部会 自信作披露&じまんBOF |
協賛 | サン・マイクロシステムズ株式会社 |
参考 | Sunの協賛が得られたということで、会場にDuke着ぐるみが登場 |
「Night for Java 3.0」レポート 2000年8月6日午後8時より、東京都港区西麻布のバー「Bullet's」にて、日本イ ンターネット協会Java部会 (Javaカンファレンス)「自信作披露&じまんBOF」に よる「Night for Java 3.0」が行われた。今回は「納涼Java Night」というサブ タイトルが付けられており、会場では白地に赤と黒のデザインのうちわが配られ たりした。また、今回はサン・マイクロシステムズ株式会社の協賛ということで、 Dukeの着ぐるみも会場に駆けつけており、参加者との記念撮影に忙しそうだった。 午後8時30分からのデモセッションは、バーの奥にあるリビングのようなスペー スにて行われた。「マシン室なので土足禁止です」と注意があったので、参加者 はフロアに腰を下ろしたりソファでくつろいだりしながら、正面の大スクリーン に映し出される映像に見入っているのであった。盛況のため、中に入り切れずに、 入口で立って見ている方も多かったようだ。デモ用のマシンのトラブルなどで多 少の混乱はあったが、藤井さんの司会進行で次々にデモが行われていった。 (1) Java Demo & SIGGRAPH 「SIGGRAPH 2000」のデモセッションのビデオの上映が行われる。 安藤さんによると、日本でも同じようなことをやりたくて、「Java Night」を始 めたとのこと。 ・根津さんによる、「Java Demo」の最新作の紹介。 ・自作の3Dライブラリを使用。 ・Pentium III 650MHzのマシンを使用し、Netscape上で動作。 ・クラスサイズの最適化だけでなく、JITによって生成される実行イメージを研 究して、ブラウザごとにクラスファイルを用意している。 ・安藤さんによる、夜のSpecial Interest Groupでの、実用的なデモの紹介。 ・ビデオカメラで人物の画像を撮ってMotion Trackingして、リアルタイムな3D 画像を表示するというもの。 ・カメラで男性がしゃべっているのに合わせて、CGでは女性やガイコツが動いて いる。差し替えは自由自在。 ・口や目の動きや表情が実物と同じというのに注目。 ・Web上で動作するPlayerがJavaとのこと。 ・「Shout Interactive」の「Shout 3D」の紹介 ・ブラウザー上で見られる3Dグラフィックスで、すべてJavaで書かれている。 ・BoxingやBasketの画像が動いていた。 ・1枚のテクスチャーに顔や手とかの部品を描いている。 ・「Shout 3D」については、後で木下さんから紹介がある。 ・9月頭に、SIGGRAPHの東京の団体でもレポートする。興味のある方は安藤さん まで。 (2) Palm パズルの紹介 タイムインターメディアの地下室「こびとさんの部屋」から、藤原博文さんが 率いる「こびとさん」の一団が、Palmパズルの紹介に登場。 http://hobbit.spire.timedia.co.jp/ ・「こびとさんのパズルの遊び方」という紙が配られる。 ・「地下室からやって来て、今回のデモ会場も地下室なので、都合がよい。」 ・「Java Night」という字が動くアプレットを披露。 ・Palm用のパズル「スリザーリンク」「数独」「ぬりかべ」を3つ紹介。 ・パズルの問題は、「ニコリ」の協力により、雑誌掲載のものを使用している。 ・Palm Emulatorにて、藤原さんがルール説明をしながら、こびとさんたちが 選手交代をしつつ、パズルの実演を行った。 ・「数独」は時間がかかるので、途中でスキップ。その他は一通り解いて見せた。 ・Palmへの移植そのものは、非常に簡単に出来た(と聞いている)。 ・ホームページ上で公開している画像は、エミュレーターに細工して、カラーを 出せるようにしている。 ・Palmではペンで操作するので、鉛筆に近い操作系となっており、パソコンで マウスで操作するよりは適している。 (3) WebCAD (仮称) 次にデモをする「JSparrow」で有名な、PFUの有我さんによる、Javaによる住宅 設計アプレットの紹介。まだ開発中のもので、社外には初公開とのこと。 ・JDK 1.1.8+JSparrowによって作成。 ・画面に玄関やキッチン、子供部屋などの部品を置きながら、間取りを設計して いく。 ・作られていく間取りについて「自分の家なんですか?」と聞かれ、「さあ。」 ・次に、ベッドや洗面台といった什器を置いていく。 ・「ベッドを浴室に置くなよ〜。和室にベッドというのも変ですが。」 ・ドアや窓といった建具を付けていく。実在の建具を使用している。 ・さらに2階、3階も立てられる。地下は今のところ無いとのこと。 ・「3D」ボタンを押すと、間取りを3Dで見られる。場内から「おーっ」と歓声が。 ・屋根を付けたり、その他細かいところはまだ開発中。 ・3Dには「JSparrow」を使用。 ・外壁の材質、透過、アニメーションのパターンなどの設定も可能。 ・いろいろ回したあとで、「ホームに戻る」機能が無いことを突っ込まれる。 「もう1回『3D』ボタンを押せばいいんだ。」 ・最後に、専門家が作ったサンプル間取りをデモ。 (4) JSparrow Macintosh版 Java Nightではおなじみの、Open GL Javaバインディングの1つ「JSparrow」、 今回はMacintosh版を披露。 http://www.pfu.co.jp/jsparrow/index-j.html ・2000年5月に公開。 ・G3 400MHzのマシンで、Intenet Explorer 5でデモ。 ・まず、Open GLの「よくあるデモ」を実行。 ・Macではカーソルを動かすと急に遅くなり、メニューを出している間は止まっ てしまう。 ・「へのへの」という、画面にマウスで描いたイラストが3Dの箱に写されるデモ。 ちなみにオペレーターは今回も中山さん。 ・Open GL Javaバインディングにはいくつかあるが、「JSparrow」はCのプログ ラムに極限まで近付けた表記を使用できる。 ・CとJavaのデータ型の違いで、floatの定数に「f」が必要。Cのソースからの移 植では、このfを付けるのが一番大変。 ・「glut」をサポートしているのは「JSparrow」だけ。 ・SGIのデモ。中山さんがCのソースを手でJavaに変換した。3時間ぐらいかかっ たうち、ほとんどは「f」を付けていたとか。 ・中山さん作のデモ。たまごの様に見えるのは文鳥で、「J (= Java) Sparrow」 という名前にかけているらしい。 ・VRML loader、DXF viewerを「JSparrow」を使って作ったというデモ。 ・有我さんと中山さんが「例の物」と言っていたデモ。写真の陰影情報から凹凸 を作った立体写真で、中山さんの顔が回転していた。 (5) BossaNova つ∞たん佐藤さんが持参した、PFUのPDA「BossaNova」(評価版) を紹介。 http://www.pfu.co.jp/BossaNova/ ・Java OS搭載。JDK 1.1相当の機能が使えるとのこと。 ・320×240ドットの解像度で、Palmよりも画面が広い。 ・片手に入る大きさ。 ・赤外線でPCと通信出来る。また、試作版の巨大なクレドールを使っても、PCと 接続可能。 ・プリファレンス設定画面の説明。 ・ディズニーランドの入口で「BossaNova」を貸し出して、いろいろなところで 使って遊んでもらう、とか考えている。 ・今のところ、拡販計画は立っていないので、入手は困難かもしれない。 (6) ThinkFree インディゾーンの中川さんによる、MS Office互換ソフト「ThinkFree」のデモ。 http://www.thinkfree.ne.jp/ ・米国thinkfree.com社の「ThinkFree Office」という、100% Pure Javaアプリ ケーション。 ・PCだけでなく、LinuxやMacでも動作。 ・MS Officeのファイルフォーマットの読み書きだけでなく、Look and Feelも互 換というのが特徴。 ・商用でまともに使えるスピードだということをお見せする。 ・まず、thinkfree.comの会社案内のPowerPointファイルを、ThinkFreeを使って 紹介する。 ・東京に拠点を開設予定。夏を過ぎる頃に出来る予定なので、その時は人材募集 を行うとのこと。 ・Word、Excel、PowerPointに相当する機能を備えている。サイズは10MBぐらい。 ・メールクライアントとアドレス帳も開発中。 ・Windowsのエクスプローラーに相当する「ランチャー」機能もある。 ・まずワープロ機能から。WordのDOCファイルをそのまま読める。 ・日本語入力はまだインライン変換は出来ないが、リソースファイルを変更する だけで対応できるとのこと。 ・次に表計算機能。XLSファイルをそのまま読める。 ・「Linuxをお使いのお客様は・・・」と、セールストークになる中川さん。 ・グラフの表示も出来る。 ・最後にプレゼンテーション機能。もちろん、PPTファイルをそのまま読める。 ・PowerPointと、メニューやダイアログのルックアンドフィールも一緒だという ことを強調。Swingライブラリを使用しているので、美しいUIを実現している。 ・ASP (Application Service Provider) に近いことをやっている。 ・他のASPとは違い、ローカルマシンにアプリケーションのインストールも可能。 今日みたいに、インターネットに接続できずにオフラインのデモでも大丈夫。 ・サーバに20MBの領域を用意していて、家庭からでも使用できる。 ・Windowsで使用する場合に重要なのは、いくらインストールしてもDLLを書き換 えないので、システムを壊さないということ。 ・Macユーザで、MS嫌いで「Apple Works」を使っている人にもおすすめ。 ・Palm等のKVM上で動作するビューアーとサーバーアプリケーションなどを考え ている。 ・http://www.thinkfree.ne.jpから無料でダウンロード可能。 ・正式リリースは英語版が8月中旬、日本語版が9月の予定。 ・「その前に会社 (日本拠点) 作れ」 (7) kenko.com 健康食品オンラインショップ「kenko.com」の裏と表について、つ∞たん佐藤さ んから紹介があった。 ・「つ〜たん」から「つ∞たん」に変更したのは、波線が出ない環境が多いから。 ・「kenko.com」の前に、佐藤氏の会社「ngMAT」の紹介。 ・ほぼ「Java屋さん」。納期に間に合わない時以外はJavaを使用。 ・「kenko.com」は株式会社ヘルシーネットのECサイトで、健康食品の通信販売 や情報提供を行っている。 ・WebLogic 4.5.1を使用。 ・Servletでhttpdを実現している。 ・CGIもServletによってサポートしている。 ・Cyber CashのインターフェースはServletで作った。欲しい人にはただで提供 する。 ・バリューコマースの「iTrack」だけはCGIを使用。時間があれば、インターフ ェースを解析してServletにしたかったのだが。 ・HTMLテンプレートで、タグをServletによって置換して出力している。このパ ッケージはngMATのサイトで入手可能。 ・JDBCのコネクションプール機能もフリー配布パッケージに入っている。 ・次のプロジェクトでは、LinuxでWebLogic 5.1を使用する。 ・今回のデモ環境は、Windows 98上でWebLogicを無理矢理動かしている。https のみ動作していて、httpは動かないらしい。 ・トップページのドロップダウンリストが文字化けしている (Orcale JDBCドラ イバで文字化けしている) のが、Servletで表示している証明。 ・「kenko.com」で買い物をするのなら、せっかくなのでうちの会社からアクセ スしてください。 (8) DELIVER III 日本板硝子ビジネスブレインズ株式会社の伊賀さんより、汎用スプール管理シス テムの「DELIVER III」についての紹介が行われた。 http://www.nsg.co.jp/nbb/ss/package/deliver3/deliver3.html (筆者が汎用機について理解できていないため、誤解しているところがあるかも しれません) ・私は、「いがぴょんの日記」というWebページを開設している者ですので、ご 存じの方も多いかもしれません。 ・デモ環境は、CompaqのPentium 133MHz、メモリ48MBのマシン。これでWindows NT ServerとMS SQL Server 6.5とクライアントを動作させている。 ・印刷データのスプーリング、汎用機の帳票仕分けなどの機能がある。 ・Swingのツリー表示使ったインターフェース。 ・今回は、印刷、帳票投入のエミュレート機能を使ってデモ。 ・Server-Clientシステムで、TCPによる通信を行っている。 ・JDK 1.3を使用している。 ・サーバマスター画面も用意されている。 ・NTのサービスとしても動作する。 ・デモ環境の都合により、最後にサーバプログラムをすべてシャットダウンして から、PowerPointによる紹介が行われた。 (9) PSION 5mx 斎藤さんによる、「PSION 5mx」というPDA上のJavaについてのデモ。 ・CPUにARM710T 40MHzを搭載。 ・Java、Webブラウザが標準で入っている。JavaはJDK 1.1.4相当。 ・Sunの「Animator」アプレットで、コーヒー豆のアニメーションを実行。 「速度は遅い。」 ・自作の数当てゲームを実演。「デモなので、何の役に立つかは聞かないで。」 ・数字の入力はペンで手書き入力する。 ・手書き認識エンジンもJavaで作成したとのこと。 (10) JavaChip FDSの金山さんによる、JavaChipの評価ボードの紹介が行われた。 ・PCに接続して、JavaChip用のソフトウェアの開発等に使うもの。 ・JavaChipはaJile社製。 ・10BASE-T、シリアル、パラレルなどのインターフェースが付いている。 ・接続できる環境が無いので、実演は無し。 (11) Shout 3D 「Shout 3D」の説明とデモが、RaNa Designの木下さんによって行われる。 ・今回使用するマシンは、SGIのVisual Workstation 320というもの。Pentium 600MHz。 ・Web上の3D表示のための、Javaアプレットによる3D Viewerで、JDK 1.0.2の 機能のみを使用している。 ・デモをしているうちに、いきなり画面が出なくなる。「停電が局地的に起きま した」という説明があり、マシンの再起動画面が映される。 ・同様のものにVRMLがあったが、Pluginが必要だったのとブラウザを選んだので、 普及しなかった。 ・「Shout 3D」はJavaアプレットなので誰でも見られるし、パフォーマンスも十 分。 ・Macの「3Dstudio」で作ったデータをVRMLファイル経由でShout 3Dのファイル に変換している。 ・このアニメーションのデモはサウンド付きで500kバイトぐらい。 ・機能的にはVRML互換で、さらにJavaScriptを実装しているので、ゲームなども 可能とのこと。「Bill Boxing」のアニメーションを実演していた。 ・レンダリングエフェクト、ピッキングなどの紹介。 ・4月まで家電メーカーでPC画面を作っていたということで、Active Desktopの カレンダーアプレットをデモ。 ・6、7月発売の製品に搭載されている。 ・なぜかカレンダーのロードがされずに焦る木下氏。 (12) ちくわインタラクティブ 引き続き、木下氏によって「ちくわインタラクティブ」という、VRMLとJavaに よるシステムが紹介された。 ・VRMLと、VRMLから呼び出されて処理を行うJavaクラスファイルによって構成さ れている。 ・シーケンサーを3次元にした音楽ソフト。 ・画面に音を貼り付けていったり、テンポコントロールなどが出来る。 ・音にアニメーションやエフェクトを貼ることも出来る。 ・将来、「Shout 3D」で動かしていろんな人に見てもらいたい。 (13) deepsonar nomadic 「ネット上に存在するクラブ」という説明の「deepsonar nomadic」が、福田氏 によってデモされた。このコンテンツは、JavaとVRMLを利用している。 http://www.st.rim.or.jp/~fuk/twas/deepsonar/index-j.html ・このコンテンツは「仮想のクラブ」を実現するもの。 ・日本語は出にくいということで、英語の画面表示によるデモとなった。 ・ネット上の音楽データを「eディスク」という形で扱ってミックスする。 ・ローカル上の音楽データもサーバ上の音楽データも使用可能。 ・クラブの中で人が立っている3D画面が映し出される。 ・DJブースに移動すると、設置されているプレイヤーが映し出される。eDISCを プレイヤーにドロップしてディスクをセットし、DJをすることが出来る。 ・曲に合わせて、画面の人々が踊り出す。 ・秋葉原で8000円で買ってきたヘッドマウントディスプレイと無線のマウスを使 って、自分の体を動かしながらデモをする福田氏。 ・エフェクトの文字が動いている中を人が踊っているというシーンもあった。 (14) Java|Palmプログラミングコンテスト 結果発表 8月1日まで募集のあった「Java|Palmプログラミングコンテスト」の結果発表が 「Java on the Palmメーリングリスト」主催の藤沢氏の司会で行われた。発表か ら20日間という短い応募期間ではあったが、28作品の応募があったとのこと。 Palmらしい作品として、いくつかの作品が紹介された。 ・DotMagic for Palm ペンでコントロールしながら、障害物にぶつからないように、どんどんと右へと 進んでいくというゲーム。 ・Syougun 画面に印籠がせり上がってくる。 ドキュメントによると「第三者に提示すると有利な立場に立つことができる」と いう機能があるらしい。 昨日、安藤氏、藤沢氏、「JAVA PRESS」編集部の細谷氏の3人で審査が行われた。 4、5時間に渡る審査の結果、次の作品が入賞となった。 ・ホット賞 (話題、企画、アイデア、娯楽性に優れている作品) 作品No.5「Way2Go」 ・クール賞 (設計、デザイン、技術、先進性に優れている作品) 作品No.20「ぬりかべ」 引き続いて表彰式が行われ、「Mr. JAVA PRESS」こと細谷氏によって、賞状と 賞品が入賞者に渡された。ちなみに、クール賞の賞品は技術評論社の3点セット (Palm本、もうすぐ別の会社からリリースされることになる「Vine Linux」、 「Java用語辞典」) であった。また、会場にいた他の参加者にも、「J2ME Tシャ ツ」などのレアな賞品がプレゼントされた。 続いて、表彰状の作成も担当された安藤氏による講評があった。 ・Way2Go 完成度が高く、ゲームだけでなく囲碁を学ぶことも出来るということが評価の ポイント。そのうち「JAVA PRESS」誌に囲碁のページが連載されるのでは。 石をどこに置くかも教えていってくれる。Palmに最適化されていて、操作性も 高いということで、審査員3人一致で決定した。 ・ぬりかべ こびとさんのパズル3作品の中で一番、シンプルで操作性に優れている。通勤 電車で操作しやすい。 藤沢氏より、来年もPalm Javaコンテストをやりたいので、次は皆さんも参加して くださいというあいさつがあって、結果発表は終了となった。